高額療養費制度とは?
医療費が高額になったとき、家計への負担はとても大きくなりますよね。でも、日本には「高額療養費制度」という公的なサポートがあります。
今回はこの制度の仕組みや申請方法、注意点まで、わかりやすく解説していきます!
高額療養費制度とは?
高額療養費制度とはひと月(1日~末日)に支払った医療費が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。健康保険(国保・社保)に加入しているすべての人が対象となります。
自己負担限度額の目安は?
69歳以下の方の限度額(2024年時点)を、収入別にざっくりまとめました。
【表:自己負担限度額の目安】
区分 | 所得の目安 | 自己負担限度額(月) |
区分ア | 年収約1,160万円以上 | 約252,600円+(医療費−842,000円)×1% |
区分イ | 年収約770〜1,160万円 | 約167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
区分ウ | 年収約370〜770万円 | 約80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
区分エ | 年収約370万円未満 | 57,600円 |
区分オ | 住民税非課税世帯など | 35,400円 |
ポイント!
実際の負担額は「世帯単位」で合算されることもあり、さらに細かいルールがあります。詳細は各保険者(健康保険組合・市区町村)に確認を!
申請方法は2通り!
【1】あとから申請する方法
- 医療費をいったん全額支払う
- 後日、健康保険組合または市区町村へ申請
- 約2~3ヶ月後に指定口座へ払い戻し
【2】事前に限度額適用認定証を使う方法
限度額適用認定証とは?
あらかじめ保険者に申請して取得しておくと、病院窓口での支払いが「自己負担限度額まで」で済みます。
入院・手術にも適用できる?
はい、保険診療の自己負担部分であれば、入院費・手術費・薬代などにも適用可能です。
とくに入院が長引いたり、複数の診療科にかかったときなど、大きな助けになります。
要注意ポイント『世帯合算』と『多数回該当』
「世帯合算」ってなに?
ここからが本題。
高額療養費制度では、「同じ健康保険に加入している家族全員の医療費」を合算して、上限を超えた分が払い戻される仕組みがあります。これが「世帯合算」です。
◆ 世帯合算が使える条件
- 同じ健康保険に入っている家族(被保険者と被扶養者)
- 同じ月(1日〜末日)にかかった医療費
- 1人あたりの自己負担が21,000円以上の場合のみ合算対象
⇒ ポイント:合算できるのは「21,000円以上」の人だけ!
◆ 具体例で見てみよう
例えば、4人家族が同じ健康保険に加入していて、こんな医療費がかかったとします
家族 | 自己負担額(3割負担) |
---|---|
父 | 50,000円 |
母 | 25,000円 |
子1 | 18,000円 |
子2 | 30,000円 |
この場合、21,000円未満の「子1」は合算の対象外。でもそれ以外は合算できます。
→ 父 + 母 + 子2 = 50,000 + 25,000 + 30,000 = 105,000円
仮にこの家庭の上限額が「87,430円」だった場合、
105,000円 – 87,430円 = 17,570円 が払い戻されます!
※加入している保険によっては、自動で払い戻してくれる場合もあります。
◆ 知っておくとトクなポイント
- 世帯全体で21,000円以上の人が複数いれば、合算できる!
- 月の途中で病院をまたいでもOK(同じ月ならOK)
- 子どもの医療費助成で「支払額が少ない」場合、対象外になりやすいので注意
◆ 「多数回該当」とは?
高額療養費制度では、医療費が高額になった月に、所得に応じた上限額を超えた分が払い戻されます。
そしてこの「上限額」…
なんと、過去12か月のうち3回以上、高額療養費の支給を受けていると、
4回目から上限額がグッと引き下げられる制度があるんです!
これが「多数回該当」です。
◆ どのくらい安くなるの?
例えば、年収370万〜770万円くらいの人(区分ウ)の場合:
通常の上限額 | 多数回該当の上限額 |
---|---|
約87,430円 | 44,400円 |
➡ 実質4万円以上お得になります!
◆ 多数回該当の条件は?
条件はズバリこちら:
◎ 過去12か月以内に、「上限額を超えて高額療養費が支給された月」が3回以上あること
◎ 4回目以降の月に、再び上限を超える医療費がかかった場合
たとえば…
月 | 自己負担額 | 高額療養費支給 |
---|---|---|
4月 | 100,000円 | 支給あり(1回目) |
6月 | 90,000円 | 支給あり(2回目) |
10月 | 95,000円 | 支給あり(3回目) |
12月 | 100,000円 | → この月から「多数回該当」扱いに! |
◆ どんな医療でも対象?
基本は「同一人物」が「同じ健康保険」で対象となった医療費が対象です。
◎ 入院・通院・薬局など、通常の保険診療であればOK
◎ 医療機関が違っても大丈夫
◎ ただし、1か月ごと・1人ごとでカウントされます(世帯合算とは別)
◆ 自動で適用される?
多くの健康保険では、4回目の月になると自動的に「多数回該当」の上限額が適用されます。
が! 限度額適用認定証をあらかじめもらっておくと、病院の窓口で支払いが軽くなって便利です。
◆ 注意点
- 過去12か月間に「高額療養費の支給が3回」あることが前提(実際に支給されていないとカウントされない)
- 世帯合算ではなく「個人単位」での判定
- 月をまたいだ医療費はNG(1日~末日で区切る)
◆ まとめ:こんな人はチェック!
☑ 定期的な通院や治療がある
☑ 慢性疾患や長期入院があった
☑ 過去にも高額療養費の払い戻しを受けたことがある
→ そんな人は「多数回該当」になる可能性大!
◆ まとめ
◎高額療養費制度は、1人分の医療費だけでなく「家族全体」で見るのがポイント!
◎「21,000円以上」の自己負担があれば、世帯合算で負担がグッと減ることも!
◎ 医療費が多くかかった月は、明細をチェックして、忘れず申請!
よくある質問(FAQ)
Q. 同じ月に複数の病院を利用した場合は?
→ すべて合算可能です。同一世帯内の家族の分も対象になります。
Q. 子どもの医療費助成がある地域でも申請できる?
→ はい、地域の助成と併用可能です。助成で差し引かれた後の自己負担額が高額療養費制度の対象になります。
まとめ|万が一のときに備えて、制度を知っておこう!
高額療養費制度をうまく使えば、医療費が高額になっても自己負担を抑えることが可能です。
家族の入院や手術など、いざというときに慌てないためにも、ぜひ覚えておきましょう!
この記事のまとめ
・自己負担額が一定額を超えたら払い戻しされる制度
・申請は「あとから申請」か「事前に認定証を使う」方法の2種類
・世帯で合算できる&子どもの助成制度とも併用可