医療費が高額になったとき、家計にとって頼りになる「高額療養費制度」。でも、実はこの制度を超えるすごい制度があることをご存じでしょうか。限られた人しか使えない特別なものです。

今回は、知っている人が少ないけれど、とてもありがたい制度「付加給付」について詳しく解説します。医療費の不安を減らす大切な情報なので、ぜひ最後まで読んでみてください。


高額療養費制度とは?

まずは基本からおさらいしましょう。

高額療養費制度は、公的医療保険に加入している人が、1か月の医療費(自己負担分)が一定額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。

たとえば、月に100万円の医療費がかかっても、実際の自己負担は年齢や収入に応じた上限(たとえば約9万円程度)に抑えられます。これが「自己負担限度額」です。


でも、それでもまだ高い…という声も

自己負担限度額があるとはいえ、たとえば入院が続けば、毎月8〜9万円の負担が何か月も続くこともあります。
子どもが小さくて教育費がかかる時期や、住宅ローンを抱える世帯にとっては、これは決して小さな金額ではありません。

ここで出てくるのが「付加給付」という仕組みです。


付加給付とは?ざっくり言うと…

「付加給付(ふかきゅうふ)」とは、健康保険組合などが、高額療養費制度にプラスして、さらに医療費の自己負担を軽減してくれる制度です。

つまり、

  • 通常:高額療養費制度で自己負担が約8万円まで軽減
  • 付加給付:それよりさらに負担が軽くなり、たとえば月2万円で済む場合も!

ということです。


どんな人が対象になるの?

ここがとても重要なポイントです。

付加給付があるかどうかは、加入している健康保険の種類によって異なります

✅ 一般的に、次のような保険に加入している人は要チェックです。

  • 会社員で、協会けんぽ以外の健康保険組合に入っている人
  • 公務員大企業の社員など、独自の健保組合がある人

一方で、

  • 協会けんぽ(中小企業の多くが加入)
  • 国民健康保険(自営業・フリーランスなど)

の加入者には、原則として付加給付制度はありません。


具体的にどれくらい軽減されるの?

たとえば、大手企業の健康保険組合では、「自己負担2万円まで」というルールを設けているところがあります。

例:

  • 医療費の総額が50万円 → 本来の自己負担15万円
  • 高額療養費制度で約9万円に軽減
  • 付加給付でさらに約2万円に!

こうしたケースでは、実質的に7万円が追加で給付されることになります。これは大きいですね。


申請方法は?

付加給付を受けるには、基本的に健康保険組合へ申請が必要です。

流れは以下の通りです。

  1. 医療機関で支払い(先に立て替え)
  2. 高額療養費の申請を行う(自動申請される場合もあり)
  3. 付加給付の申請書を提出(もしくは自動給付)

組合によっては「自動的に振り込まれる」ケースもありますが、念のため、自分の保険証に記載されている健康保険組合に確認しましょう。


なぜあまり知られていないの?

付加給付は、あくまで「公的保険制度」ではなく、健康保険組合が独自に設けている給付のため、知名度が低いのです。

また、企業の人事担当者から説明がなかったり、パンフレットを見逃していたりして、「そんな制度があるなんて知らなかった!」という声も多くあります。


医療保険は必要なのか?見直しのヒントにも

付加給付があることで、民間の医療保険が「実はいらないかも?」と感じる方もいます。

とはいえ、全員に当てはまる話ではありません。入院が長期になったときや、通院が多いとき、付加給付の対象外となるケースもあります。また、付加給付は将来的に制度変更されるリスクもあるため、「医療費全額まかなえるから安心」とは言い切れません。

ただ、「会社の健保に付加給付があるなら、医療保険は最低限でもいいかも」といった見直しのヒントにはなります。


まとめ:付加給付、まずは自分の健康保険組合をチェック!

いかがでしたか?

高額療養費制度だけでなく、「付加給付」という仕組みを知っておくことで、医療費に対する安心感は大きく変わります。

この記事を読んだら、まずは以下の2つをチェックしてみましょう。

✅ 自分の健康保険組合に「付加給付制度」があるか?
✅ どんな条件で給付されるのか?申請が必要か?

保険を見直す際にも、必ずこの制度の有無を確認してから判断するようにしましょう。
お金の知識を持つことで、家計も家族も守れます。