多くの人が悩む定期型と終身型
医療保険は、万が一の病気やケガによる入院・手術の費用をカバーする心強い存在です。しかし、一口に医療保険といっても「定期型」と「終身型」の2つのタイプがあり、「どちらが自分に合っているのか分からない」という声を多く耳にします。
また、更新型の保険では「なぜ保険料がどんどん高くなるの?」と疑問に思ったり、終身型の保険を見て「同じ保障内容なのに、なぜこんなに保険料が高いの?」と感じる方も多いでしょう。
この記事では、医療保険の定期型と終身型の違いをわかりやすく解説するとともに、それぞれのメリット・デメリットや選び方のポイント、保険料の仕組みについても詳しく掘り下げていきます。
1. 医療保険の「定期型」と「終身型」とは?
■ 定期型(更新型)の医療保険とは
定期型医療保険は、あらかじめ定められた一定の保険期間(例:10年・15年など)だけ保障が受けられるタイプです。期間が満了すると、希望すれば契約を更新できます。このタイプは「更新型」とも呼ばれます。
例えば「10年更新型」の保険に30歳で加入した場合、40歳で更新のタイミングが訪れます。その際、年齢に応じて保険料が再計算され、基本的には更新のたびに保険料が上がります。
特徴は以下の通りです:
- 月々の保険料は終身型に比べて安くスタートできる
- 保障内容を見直すタイミングが定期的にある
- 加齢に伴って保険料が上がる
- 高齢になると保険料負担が大きくなる可能性がある
■ 終身型の医療保険とは
終身型医療保険は、その名の通り、一生涯にわたって保障が続くタイプです。途中で契約が切れることはなく、加入時に定められた保障内容がずっと継続されます。
また、保険料は「一生涯払い続けるタイプ」もあれば、「60歳払済」「65歳払済」など、一定の年齢までで支払いが完了するタイプもあります。
特徴は以下の通りです:
- 加入時から保障内容と保険料が変わらない
- 一度契約すれば、その後の更新手続きが不要
- 定期型に比べて、初期の保険料が高め
- 老後も保障が続くため、長期的な安心が得られる
2. 更新型(定期型)の保険料が上がる理由
更新型の保険は、契約の更新時に年齢やリスクに応じて保険料が見直されます。ここが保険料が上がる最大の理由です。
保険というのは、加入者が病気やケガで保険金を請求するリスクに基づいて保険料を算出しています。若いうちはリスクが低いため保険料も抑えられますが、年齢を重ねるごとに、以下のようなリスクが増加します:
- 病気の発症率が上がる
- 入院日数が長くなりやすい
- 手術の発生確率も高くなる
そのため、例えば30歳で月2,000円の保険料だったものが、40歳の更新時には月4,000円に、50歳で月7,000円になるというように、更新のたびに保険料が跳ね上がるケースもあります。
一見「安いからお得」と思われがちな更新型ですが、長期間にわたって保険を持ち続けると、結果的に支払う保険料総額が大きくなる可能性がある点に注意が必要です。
3. 終身型の保険料が高めに設定されている理由
一方、終身型医療保険は、「一生涯にわたって保障が続く」ことを前提にしているため、長期的なリスクをあらかじめ織り込んだ保険料設計となっています。
終身型は、加入時点での年齢に基づいて保険料が決定され、その後も変わりません。これは、保険会社が「将来この人が病気になる確率」や「保険金を支払う回数・金額」などをすべて加味した上で、あらかじめ保険料を設定しているからです。
例えば、30歳で加入した人が80歳まで生きた場合、定期型ではその都度保険料が再計算されて高くなっていくのに対し、終身型では加入時の安い年齢で固定された保険料を払い続けるため、老後の負担が少なくなります。
また、保険料払込期間を60歳までなどに設定しておけば、定年後の保険料支払いが不要となるため、老後の生活設計もしやすくなるメリットがあります。
4. どちらを選ぶべき?選び方のポイント
定期型と終身型、それぞれにメリット・デメリットがあるため、「どちらが正解」とは一概に言えません。重要なのは、ライフプランや家計状況に合った選択をすることです。
■ 定期型が向いている人
- 保険料をできるだけ安く抑えたい人
- 子育て世代など、他の支出が多く余裕がない人
- 将来的に保険の見直しや解約を考えている人
- 公的保障や貯蓄である程度備えている人
■ 終身型が向いている人
- 一生涯の保障を確保しておきたい人
- 加入時の保険料でずっと払いたい人(将来の上昇リスクを避けたい)
- 老後の医療費に不安を感じている人
- 長期的なライフプランを立てている人
5. 実際にかかる保険料総額を比較してみよう
実際に支払う保険料の総額を比較すると、意外な結果が見えてきます。
例えば、30歳男性が月額給付金5,000円の医療保険に加入する場合のシミュレーション:
| 保険タイプ | 保険料(月額) | 払込年齢 | 総支払額(65歳まで) |
|---|---|---|---|
| 定期型(10年更新) | 30歳:2,000円〜 50歳:7,000円前後 | 65歳まで更新 | 約180万円以上(更新で増加) |
| 終身型 | 約4,000円 | 60歳払済 | 約144万円(固定) |
※保険料はあくまで一例です。保険会社・保障内容によって異なります。
このように、短期的には定期型が安く見えても、長期的には終身型の方がコストを抑えられる場合もあるのです。
6. まとめ:医療保険は「今」だけでなく「将来」も見据えて選ぼう
医療保険は、今の生活だけでなく、将来にわたって安心を支える大切な備えです。
定期型は保険料が安く、ライフステージの変化に応じて見直しやすい反面、将来的に保険料が高くなるリスクがあります。
終身型は保険料こそ高めですが、保障が一生続き、保険料も一定で老後の安心感があります。
どちらを選ぶかは、今の家計状況、将来の生活設計、価値観によって異なります。必要であれば、保険のプロに相談し、自分に合ったプランを見つけましょう。
